大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和23(れ)1325 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人吉長正好上告趣意について。

刑法第一八六条第一項に所謂賭博常習者とは、賭博を反覆累行する習癖あるもの

をいう立法趣旨であつて、必ずしも賭博を渡世とする博徒の類のみを指すものでは

ない。又かかる習癖のあるものである以上たといそのものが正業を有しているとし

てもその一事を以て直ちにこれを賭博常習者でないとはいい得ないのである。時代

の推移により法律の解釈に変化を来たすであろうことはもとより多言を要しないと

ころであり、しかも、右刑法法条制定当時に比して近時の世相が一般に射倖心横溢

の傾向にあることも所論の通りであるが、賭博常習の法律観念につき、前示解釈を

異にすべき何等の理由も発見し得ないのである。

原判決によれば、原審は、被告人が昭和一一年四月三〇日、同一三年五月二〇日、

同一六年五月三一日、同二〇年八月三一日の四回に亘り、いずれも大阪区裁判所に

おいて賭博罪でそれぞれ罰金二〇円、八〇円、一〇〇円、八〇〇円に処せられたも

のであるとの事実と、被告人の原審公判廷における「昭和二二年八月七日本件賭博

をしたときには、所持金は一五、〇〇〇円位で、一回に五〇〇円乃至三、〇〇〇円

位張つた。又その前月頃にも二回位賭博をして三〇、〇〇〇円余負けたことがある」

旨の自供とを綜合して、被告人を賭博常習者であると認定したものである。そして

この原審の事実認定は前示綜合証拠の内容に照らし、これを肯認するに難くないの

であつて、その間何等実験則に違反するところはない。論旨は畢竟賭博常習者の観

念につき独自の見解を披瀝して、事実審である原審がその自由裁量の範囲内におい

て適法になした事実認定を非難するに帰着し、上告適法の理由となすに足りない。

よつて旧刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。

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この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 小幡勇三郎関与

昭和二四年二月二四日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

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